キラキラに帰る。(男2 女4 50分)【演劇脚本】

短編(60分以内)

〈あらすじ〉

とある漁師町に住む一家のひと夏の出来事。父親の【正文】が倒れたことがキッカケで、長女の【千秋】が実家に戻る。もともと実家住まいだった次女の【風夏】と共に、数年ぶりに家族3人が揃う水沢家。しかし、相変わらずのチグハグした空気は昔のままだった。

そんなある夜、風夏は浜辺で不思議な少女【ハル】と出会う。彼女は、元は人魚だが魔法の力で7日間だけ人間の姿になっているのだとか。その後、ハルの存在がキッカケとなり水沢家の絆は紡がれていく。

ハルが与えた「キッカケ」とは。そして、水沢家が抱える「問題」とは何だったのだろうか。

〈登場人物〉

水沢 風夏:22歳。実家住まい。フリーター。

水沢 千秋:26歳。風夏の姉。東京在住。

水沢 正文:50歳。漁師。千秋、風夏の父。

ハル(ネネ):魔女と取引をして人間の姿に。元人魚。

人魚:女。年齢不詳。

男:31歳。

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〈舞台〉

舞台上に、以下の場面が存在する

①浜辺(舞台下)

②正文の部屋(舞台上上手)

③男と人魚がいる岩場(舞台上下手)

照明の切り替えで場面が変わる。

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◆オープニング

『海の詩』

  浜辺、センターに風夏

  岩場に男、人魚が座っている

  父の部屋に正文、千秋

  正文、ベットで横になっている

  風夏にのみ照明が当たっている

  ♪BGM(水の反映:ドビュッシー)

(風夏)

真っ黒な世界

あなたにだけ色があった

緑、ピンク、黄色

真っ黒な風

塩の匂いを感じる

目を閉じると

世界の広さを感じて少し怖かった

真っ黒な月の光

遠くのキラキラに思いを馳せる

とても綺麗だ

キラキラの場所を想像してみる

そこは真っ黒で

深くて

怖い場所だった

足元でキラキラが壊れる

壊れて泡になる

色のない世界に吸い込まれていく

また、あなたに会えるかな

ずっと忘れない

緑、ピンク、黄色

  ♪BGMフェードアウト

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◆海岸にある岩場

『とある男と、とある人魚』

  ♪BGM(ラモーを讃えて:ドビュッシー)

  とある海岸

  人魚と男が岩場で話をしている

男「人魚っていうのは、どのくらい生きるんだい?」

人魚「300年くらい」

男「とてつもないね」

人魚「そうかな。ニシオンデンザメと同じくらいでしょうか」

男「聞きなれない名前だなぁ」

人魚「深海に生息してるサメですよ。海の生物って、寿命が長いことが多いんです。ベニクラゲなんて不老不死だもの」

男「不老不死。そんなことがあるのかね」

人魚「物理的な損傷や、エサが食べられないような危機的な状況に陥ると、自ら若返ることが出来るので」

男「すごいな」

人魚「ただし、他の生物に食べられてしまったらさすがに終わりです」

男「…なんだか、物悲しいですね」

人魚「物悲しいという言葉が、ピッタリですね」

男「ねえ」

人魚「ん?」

男「人魚の肉を食べると、不老不死になるというのは本当かな」

人魚「それ、私に聞く?」

男「だって、本人に聞くのが一番確実ですよ」

人魚「そうとも限らないよ」

男「なぜ?」

人魚「人魚は人魚の肉を食べないもの」

男「確かに」

人魚「もし不老不死になれるとしたら、私を食べる?」

男「そうだなぁ」

人魚「あなた一瞬でも考えるのね」

男「いや、さすがに君は食べないけど。不老不死はちょっと気になる」

人魚「そういうものですか」

男「僕らは今、どう見たって若者2人だ」

人魚「…」

男「いや、訂正しよう。若い女と、31の男だ。しかし、君は後100年は同じような見た目なんだろう?」

人魚「保てるように努力します」

男「保たなくていいんだよ、だって僕はあっという間に老人になってしまうんだから」

人魚「あっという間は言い過ぎです」

男「君の人生からしたら、酷くあっという間だろう。それが僕には耐えられない」

人魚「あなたが老人になったら、私が離れていくと、そう言いたいの?」

男「居てくれるのか?」

人魚「そのつもりです」

男「そうか」

人魚「はい」

男「いやしかし、君だけ若く美しいままなのはどうなんだ」

人魚「あなた、自分が美しいとでも?」

男「い、いや…だったら、なぜ、君は僕を選んだんだ…ってことになるけどね」

人魚「冗談よ。もちろん、あなたも美しい」

男「そうか」

人魚「はい」

人魚「若いままなのは良いかもしれないけど、死なないというのは悲しいことですよ」

男「そうかな。僕は死にたくない」

人魚「私だって死にたくないよ」

男「えらく矛盾しているようだが」

人魚「死ぬのは辛いけど、愛する人が先に死ぬのはもっと辛い」

男「そうか…。だから、死なないのは悲しいこと」

人魚「そう。私はあなたより長く生きる。それが一番辛い」

男「…」

男「だとすれば、ベニクラゲってやつは本当に不幸なんだな」

人魚「恋の相手もベニクラゲだったら、幸せなことだと思います」

男「確かに。永遠に一緒だ」

  照明、浜辺に切り替わる

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◆浜辺①

『姉妹』

  ♪環境音「波の音」

  夜の浜辺

  風夏、段差に腰をかけている

  千秋がやってくる。

千秋「相変わらず」

風夏「なにが?」

千秋「別に」

風夏「お父さんまだ寝てる?」

千秋「うん」

風夏「ありがとう、帰ってきてくれて」

千秋「なに、急に」

風夏「バタバタしてて、話できなかったから」

千秋「お礼なんていいよ。だって自分の家だもん」

風夏「ごめん」

千秋「だからいいって。私の意思で帰ってきたの」

風夏「よくお休みとれたね」

千秋「有給、あってもどうせとれないから、せめてこういう時くらいね」

風夏「そういうものなんだね」

千秋「そう。お父さんが倒れたことを利用して…ね」

風夏「それ、良くないよ」

  少し、場が和む

千秋「相変わらず、良くこうしているの?」

風夏「ときどき」

千秋「…人魚に会えた?」

風夏「その話いつまでする気?」

千秋「ごめんごめん、久しぶりに会うからさ。何となく懐かしくて」

風夏「最後に帰ってきたのいつだっけ」

千秋「4年…いや、3年?多分そのくらい」

風夏「半年に一度は帰るって言ってたのに」

千秋「帰れないんだよ。結構順調でさ。仕送りも増やしたいし。ところで風夏は…」

風夏「あのさ」

千秋「なに」

風夏「人魚、何回か見てるからね」

千秋「そう」

風夏「うん」

千秋「疑ってるわけじゃないよ」

風夏「うん」

千秋「泳いでるの?人魚」

風夏「あそこの岩場に」

千秋「座ってた?」

風夏「まぁ」

千秋「何してたんだろうね」

風夏「分かんない」

   間

風夏「お姉ちゃん」

千秋「ん?」

風夏「やっぱり…ごめん」

千秋「だから良いってば」

風夏「1回しか見てない」

千秋「え?」

風夏「人魚」

千秋「人魚…ね」

  千秋、思わず笑う

風夏「なに」

千秋「風夏って、本当に小さい頃からマイペースというか、我が道をいくというか…」

風夏「私に、我が道なんてないよ」

千秋「ん?」

風夏「お姉ちゃんこそ、我が道って感じがする」

千秋「へー、なんで?」

風夏「第一志望の大学入って、勤めたかった会社に就職して。我が道だよ」

千秋「それなりに苦労してるんだよ」

風夏「私だって苦労してるよ」

千秋「分かってる。だから、風夏もいつか報われるよ」

風夏「何が報われるの?やりたいこともないのに」

千秋「私だって、やりたいことばっかやってるわけじゃないよ」

風夏「分かってる」

  気まずい空気

千秋「お父さん、大したことなくて良かったね」

風夏「私のせいだよ」

千秋「そんなことないよ」

風夏「困らせてばかりだから」

千秋「私が東京に行っちゃったから、大変になっちゃったんだよ」

風夏「でも、お姉ちゃんは沢山仕送りしてくれてるんでしょ?私は何もしてない」

千秋「風夏はさ、元気に健康でいてくれればいいんだよ。お父さんは多分それで満足。自分の体は大事にしないとダメだよ」

風夏「母親みたい」

千秋「ごめんね、口うるさくて」

風夏「私のこと心配して様子見に来たの?」

千秋「そうだね、深刻そうな顔してたから」

風夏「大丈夫だから」

千秋「…お父さんの様子みてくるね」

  千秋、家に戻る

  照明、父の部屋に切り替わる

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◆父の部屋①

『父と姉』

  ♪環境音「時計の秒針」

  実家。正文の寝室

  千秋、部屋に入り、ベッドの脇で洗濯物を畳む

  正文、目を覚ます。千秋がそれに気づく

千秋「おはよう」

正文「ああ」

千秋「千秋だよ。分かる?」

正文「分かるよ」

千秋「ビックリして帰ってきたから」

正文「そうか、悪いな」

千秋「いいよ。寝てて」

正文「仕事は大丈夫なのか」

千秋「大丈夫。有給あるから」

正文「悪いな」

千秋「だから大丈夫だって」

正文「キレイになったな。大人っぽい」

千秋「そうかな」

  千秋、洗濯物をタンスにしまう

正文「歳はとりたくないね」

千秋「そんなこと言っても仕方がないよ。それに、お父さんは結構若い方だと思うよ」

正文「そうか」

千秋「その歳ですごいと思うよ。若い漁師は2人とか3人でやってるんでしょ?」

正文「雇う余裕もないしな」

千秋「お腹減ったでしょ。何か作るよ」

正文「いや、今は良い。ここにいてくれ」

千秋「…うん」

  沈黙

正文「千秋は本当に良い子だったな。手がかからなかった」

千秋「なにそれ」

正文「ワガママなんて言ったことないだろう」

千秋「そんなことないよ。映画館行ったらなかなか帰らなかったでしょ?」

正文「確かに。あれは困ったな。あの頃から映画が好きだったんだよな。小学校入る前だろ」

  会話が続かない

千秋「良くしゃべるね。珍しい」

正文「久しぶりだから」

千秋「ごめんね、なかなか帰らなくて。結構順調でさ、お陰さまで忙しいんだ仕事。風夏があんなんだから、お金とか大変かな…ってのもあるし。私が頑張るから、お父さんは身体休めていいよ」

正文「悪いな」

千秋「だからいいって」

正文「でも、風夏のことはそう言わないでやってくれ。あれはあれで一生懸命だから」

千秋「分かってる」

正文「千秋が家を出てから、風夏と向き合う時間が増えたよ」

千秋「そう。良かったじゃん」

正文「どうかな。今まで、いかにお前に助けられていたのか、そんなことばかり考えるよ」

千秋「お父さんと風夏は、昔から仲良かったよ。私関係ある?」

正文「甘やかすばかりだったからな。叱ることはお前任せだった」

千秋「自覚あるんだ」

正文「悪かったな、本当に」

千秋「謝ってばっかり。身体悪くすると弱気になるって本当だね」

正文「久しぶりだってのに、当たりが強いな。懐かしい気もするけど」

千秋「確かに」

正文「…いつでも、帰ってきていいぞ」

千秋「私が帰りたがってるみたいな言い方」

  沈黙

正文「彼氏はいるのか」

千秋「いないよ」

正文「そうか。化粧、ちょっと濃くないか?」

千秋「さっき、キレイになったって言ってたのに」

正文「お父さんは嫌いじゃないけど。それで仕事に行ってるのか?」

千秋「行ってるよ」

正文「…そういうもんか」

  照明、浜辺に切り替わる

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◆浜辺②

『ハルとの出会い』

  ♪BGM(月の光:オルゴール)

  深夜、浜辺にハルが立っている

  白いワンピースに裸足、海を見ている

  風夏、今日はいつもより遅い時間に海に来る

  そこでハルの姿を見つける

  少し見覚えがある気がし、話しかける

風夏「あの…」

ハル「はい」

風夏「どうかされましたか?」

ハル「どうしてですか?」

風夏「いえ、すみません」

  ハル、振り返る

  目が合う2人

風夏「あ…」

ハル「何か?」

風夏「いえ、こんな時間だったんで。どうしたのかな、と」

ハル「あなたこそこんな時間ですよ。何をしに?」

風夏「私は海を見に」

ハル「私も同じです」

風夏「はい…」

ハル「好きなんですね、海が」

風夏「まぁ…そうですね」

ハル「違うなら違うでいいんですよ。それはそれで、じゃあ何故ここに来るんだろう…となって興味深くなる」

風夏「あの…好きは好きなんですけど、ちょっと怖いって思うこともあるんで」

ハル「へぇ。何か面白そうですね、それ」

風夏「別に面白くは…」

ハル「聞きたいな」

  ハル、砂浜に座る

風夏「別に大した話じゃないんですが」

  ハル、無言で風夏を見つめる

風夏「…」

  風夏、ハルの隣に座る

ハル「話してくれるんだ」

風夏「そんな目されたら、さすがに」

ハル「で、海の何が怖いの?」

風夏「おかしな事だと思うかもしれないけど、波って泡になっちゃうから。何だかそれが怖くて」

ハル「泡になる…うん」

風夏「最初はね、海の向こうを見ている。ずーっと向こう。何も考えずにずっと。しばらくすると風の音がして、ああ、なんて気持ちいい海風なんだ…って、しばらく目を閉じる。美味しいものは目を閉じて味わうでしょ?あれと同じ。目を閉じると塩の匂いを感じて、なぜか海の広さを感じる。深くて黒い海を想像して少し怖くなって、目を開ける。すると今度は月の光がキラキラしているな、綺麗だなぁ…って。そんなことを考え始める。でも、色々考え出すと、ついつい明日の予定とか頭をよぎっちゃって、あ~なんか台無しだなぁとか…」

ハル「それ、何の話?」

風夏「ああ、ごめん。…で、もう一度海を感じようと思って目を閉じるんだけど、ふと、自分の近くで鳴っている波の音が気になる。何だか、すぐ足元まで迫ってるんじゃないかって、ちょっと怖くなってまた目を開ける。そしたら、あの辺の波が泡になって、サーって消えていくのが見える…泡になって消えていく。あんなに穏やかで、綺麗だった海が。ごめん、分かんないよね」

ハル「泡になるのが怖いのは、何となくわかる」

風夏「ほんと?」

ハル「泡になって広がって、また暗闇に吸い込まれていく。帰っていく。ずっと向こう。海の向こう。キラキラした場所まで」

ハル「そしてまた、波になる」

風夏「あの…お名前は?」

ハル「ハル」

  照明、父の部屋に切り替わる

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◆父の部屋②

『父の勘』

  ♪環境音「時計の秒針」

正文「仕事は楽しいか?」

千秋「まぁまぁかな」

正文「俺には良く分からないけど、大変なんだろ?映画の世界は」

千秋「そうだね。映画業界も大変だけど、私がやっているのは営業みたいなもんだから」

正文「作る方じゃないのか」

千秋「違うよ」

正文「そうか」

千秋「私の会社は、映画の配給会社。売れそうな映画を買い付けて、興行先に上映してもらうんだよ。映画祭とかフィルムマーケットに出向いて、権利を買い取るの。やってることは、ほぼ営業。もちろんマーケティングも大事だけど」

正文「そうか」

千秋「ごめんね、難しいよね」

正文「父さん、学がないからな」

千秋「興味はある?」

正文「興味か…映画、あまり観たことがないから」

千秋「そうだよね」

  沈黙

千秋「なんで、珍しく私と話そうとしたの?」

正文「珍しいか?」

千秋「そうだよ」

正文「今まで、ゆっくり話す時間がなかったから。家、空けてばかりだったし」

千秋「仕事なんだから、仕方がないよ。感謝してます」

  会話が続かない

正文「香水、つけてるのか?」

千秋「うん、くさい?」

正文「少し強いな」

千秋「ごめんね、お風呂入ってくるよ」

正文「いや、いいから。ここにいなさい」

千秋「なにそれ」

正文「千秋、お前は本当に昔から聞き分けが良くて、叱ったことなんてほとんど無かったな」

千秋「またその話?」

正文「俺が倒れたら、こうやって仕事を休んで、無理して来てくれる。自慢の娘だ」

千秋「ねえ」

正文「無理、してないか?」

千秋「してないよ」

正文「今だけじゃない。子供の頃から。無理、してたんじゃないか?」

千秋「してない」

正文「風夏もあんな感じだから…」

千秋「風夏のことは言ってやるなって、お父さんが言ったんだよ?」

正文「しかし…」

千秋「やめて」

正文「千秋。お父さんは、お前を叱ろうと思う」

  照明、浜辺に切り替わる

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◆浜辺③

『魔女との取引』

   風夏、独白

風夏「すごいなぁお姉ちゃん。ちゃんと自分の夢を見つけて、それを追いかけて叶えちゃうんだから。私は…現実しか見れない。毎日、目の前にあることで精一杯で。…お父さんごめんね。でも…お母さんがいたら、どんな家族になっていたんだろう。私も、夢を見れたのかな」

  ♪BGM(月の光:オルゴール)

ハル「何考えてるの?」

風夏「ううん」

風夏「…ハルは、なぜ海を見に?」

ハル「失恋」

風夏「そうなんだ。そう言えば悲しい顔してた」

ハル「うん」

風夏「フラれちゃったとか?」

ハル「そうなのかもしれない」

風夏「色々ありそうだね」

ハル「聞きたい?」

風夏「聞きたい」

ハル「どこから話そう…」

風夏「どんな人だったの?」

ハル「漁師。体がおっきくて、やさしくて、素敵な人」

風夏「へぇー」

ハル「この海岸で、時々会ってた」

風夏「ここで?」

ハル「そう。あの岩場の辺り」

風夏「喫茶店とか公園じゃなくて?」

ハル「会うときは必ずここ」

風夏「映画館は?」

ハル「行かない」

風夏「なんだか不思議」

ハル「でも、3年くらい前から会えなくなっちゃって」

風夏「なんで?」

ハル「分からない。毎日ここに来てみるんだけど。彼は現れない」

風夏「毎日?」

ハル「そう、毎日。この時間に」

風夏「こんな遅い時間に…」

ハル「いつも約束してた時間だから」

  風夏、ハルの顔をじっと見る

ハル「ん?」

風夏「うーん」

ハル「なに」

風夏「ハルが人魚なんじゃないかって、考えているところ」

ハル「どうしてそう思うの?」

風夏「私、あなたを見たことある気がする」

ハル「それ、人魚を見たことがあるってことになるよ」

風夏「うん、1度だけ。でも鮮明に覚えてる。あそこの岩場に座ってた。真っ暗なはずなんだけど、なぜかそこだけ明るくて…色があって、綺麗だった。最初は月の明かりで照らされてるのかと思ったんだけど、こんな広いところで、1ヶ所だけ明るいなんて変でしょ?その人魚、腰から下は当然魚で、鱗の1枚1枚までハッキリ見えた」

ハル「顔は見えた?」

風夏「どうだったかな。でも、ハルと雰囲気が似てた気がする。とっても素敵だった」

ハル「だったら人違いかな」

風夏「ん?」

ハル「魔女にお願いして人間になった人魚は、顔も声も変えられてしまうから」

風夏「えっと、ごめん、それはつまり…どういうこと?」

ハル「風夏が岩場で見たのは、確かに人魚だったんだと思う。けど、その人魚と私が似ているのだとしたら、私はその人魚じゃない」

風夏「えーっと…顔を変えられちゃうからってこと?」

ハル「声も」

風夏「そう、声も。つまりハルは【別の人魚】ってこと?」

ハル「そう」

風夏「で、今は人間になっている」

ハル「7日間だけね」

風夏「うわ~ロマンチック」

ハル「魔女の呪いだよ?」

風夏「そうか、それは大変」

ハル「ねぇ」

風夏「なに?」

ハル「すんなり受け入れすぎじゃない?自分で言うのも何だけど」

風夏「だって見たことあるもん、人魚。もう一度見たかったから時々ここに来てるんだよ。やっと見れた。ていうか、会えたし話しも出来た」

ハル「あなたって、おもしろいね」

  ハル、笑う

風夏「だって、私ずっと会いたかったんだもん、あなたに」

ハル「人違いだって。顔も声も違うんだから」

風夏「魔女と取引したの?」

ハル「そう。彼を探すために。あの体のままじゃ、陸に上がれないから」

風夏「どこにいるのか、知ってるの?」

ハル「すぐ近く住んでいるってのは知ってる」

風夏「そうなんだ…あれ?」

ハル「ん?」

風夏「7日間だけって言ってなかった?」

ハル「そうだね。あと4日」

風夏「そしたら、また人魚に戻っちゃう?」

ハル「いや、泡になる」

風夏「え…?」

ハル「泡になって、消える」

  風夏、ハルの腕を引く

ハル「ちょっと、なに」

風夏「こんなことしてる場合じゃない、探さないと」

ハル「痛い、はなして」

風夏「ダメ、探す」

ハル「いいの」

風夏「良くない」

ハル「いいんだって」

風夏「良くないよ」

ハル「いいって言ってるでしょ」

  ハル、手を振り払う

風夏「なんで」

ハル「これでいいの、このままでいたい」

風夏「なんで…ちゃんと探したの?」

ハル「探してない」

風夏「だから、なんで」

ハル「彼と結ばれたらずっと人間でいられるけど…」

風夏「だったら早く探さないと」

ハル「自分の正体を明かしちゃいけないんだよ?破ったら一瞬で泡になる」

風夏「だとしても、まずは彼を探さないと」

ハル「まだ分からない?」

風夏「何が?分かんないよ」

ハル「私は新しい女性として彼に出会うことになるの。はじめまして、なんだよ。今まで彼といろんな話をした。今日こんなことがあったよ…とか、友達や家族のこと…。意見が合わなくて喧嘩したこともあったし、すごくちっぽけなことで悩んでたり…全部他愛もない話だったけど、2人で積み上げてきた思い出は大きくて、大切で。でも、それは全部無かったことになる。だって、はじめましてなんだもん」

風夏「だったらなんで…」

ハル「顔や声が違っても結ばれる、愛し合える。私たちなら…って思った。あの時はそれしか考えられなかった。でも、いざ人間になって、彼に会いに行けると思ったら…急に怖くなってしまって」

風夏「彼のこと好きなんでしょ?だったらはじめまして、でもいいじゃん。きっと結ばれるよ。そうに決まってる」

ハル「結ばれることが辛いんだよ」

風夏「…」

ハル「ごめん」

  ハル、ひとつ深呼吸

  海風が心地よい

ハル「…私、あなたのこと好きよ。なぜか落ち着く」

風夏「ありがとう」

ハル「もう少し話していたいな」

風夏「うん」

ハル「楽しい話がしたい」

風夏「…わかった」

風夏「ハル、ありがとう」

ハル「急にどうしたの」

風夏「ここに来てあなたのことを待っていると、気持ちが楽になった。小さい頃から」

ハル「だから別の人魚だって」

風夏「いいの」

ハル「そうですか」

風夏「あなたの事を想像している間は、子供みたいな夢を見られてる気がして。それが心地よくて」

ハル「なんかちょっと照れる」

風夏「ねぇ、本当に消えちゃう?」

ハル「風夏…私、楽しい話がしたいよ」

風夏「わかった」

ハル「明日も話せるかな」

風夏「うん」

  照明、父の部屋に切り替わる

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◆父の部屋③

『向き合う父と姉』

  ♪環境音「時計の秒針」

正文「ついて良い嘘と、悪い嘘があるのは分かるか?」

千秋「…相手が不幸になる嘘は、ダメだと思うけど」

正文「違う」

千秋「わかんないよ」

正文「相手はもちろん、自分が不幸になる嘘もダメだ」

千秋「ていうか、まわりくどいよ。何が言いたいの?」

正文「映画作る仕事、やめたんじゃないのか?」

千秋「配給会社だってば」

正文「そんなのどっちでもいい」

千秋「良くないよ」

正文「今はいいだろ」

千秋「いい加減にして」

正文「なんだ、大きい声だして」

千秋「私に興味がないなら説教しないで」

正文「大事な娘なんだから、興味もなにもないだろ」

千秋「風夏のことなら何でも知ってるのに?私は仕事のことすら覚えてもらえない」

正文「仕事のことはたまたまだよ」

千秋「ちがう。私が高校の時好きだったアイドル知ってる?好きな音楽とか」

正文「男親だから、そういうのは疎いんだよ」

千秋「お父さんはずっとそうだったよ」

正文「そんな風に思ってたのか」

  正文、何かを飲み込む

正文「ごめんな」

千秋「謝らなくてい」

正文「ごめん」

千秋「やめてって」

正文「俺は、千秋に頼りすぎていたのかもしれないな」

千秋「それは別にいいよ」

正文「いや、お前だって俺の子供だ。もっと父親らしくいた方が良かったんだ」

千秋「…」

正文「母親がいなくなったから。正直女の子2人を育てる自信がなかった。でも、お前は本当に聞き分けが良くて、俺の1番の理解者だった。風夏はあの通り手がかかるからな…俺も苦しかったんだよ。でも今思えば、お前に頼っちゃいけなかったんだ。だって、2人とも同じ娘なんだから」

千秋「家族なんだから、助け合うのは当たり前だよ。…ごめん。そういうつもりじゃなかったんだけど。…風夏は相変わらず?」

正文「ああ、正直目が離せないよ。あいつ、時々海にいくだろ?また死のうとするんじゃないかって」

千秋「大丈夫、私が様子見てるから」

正文「結局お前に頼ることになっちゃうんだな」

千秋「いいよ、家族なんだから」

正文「千秋、お前、母さんに似てきたよ」

千秋「さっき、ちゃんと娘として見るって言ってたのに」

正文「確かに」

  小さく笑う2人

  千秋、何かを決する

千秋「…お父さん」

正文「なんだ?」

千秋「私、仕事やめたよ」

  照明、浜辺に切り替わる

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◆浜辺④

『姉の告白とハルの確信』

  ♪環境音「波の音」

  海を見ている風夏

  千秋がやってくる

千秋「どうも」

風夏「また様子見?」

千秋「ちょっと落ち込んでます」

風夏「どうしたの?」

千秋「お父さんに怒られちゃった」

風夏「珍しいね。お姉ちゃんに怒ることなんてあるんだ」

千秋「そうだね」

  千秋、穏やかな表情

  どこか嬉しそうにも見える

風夏「落ち込んでるように見えないけど」

千秋「ううん、しっかり落ち込んでる」

風夏「そうなんだ。で、なんで怒られたの?」

千秋「風夏にも黙ってたんだけど、私、仕事辞めてたんだ」

風夏「映画の仕事?」

千秋「そう」

風夏「ちょっとびっくり…。ずっと夢だった仕事なのに。…ていうか、だとしても怒ることじゃなくない?」

千秋「…私、夜の仕事してるんだ」

風夏「…そうなんだ。意外」

千秋「それ言ったら、お父さん怒っちゃって」

  間

風夏「夜の仕事って、どんな?」

  間

千秋「まぁ、想像の通りかな」

風夏「教えてよ」

千秋「あんまり詳しくは言いたくないけど」

風夏「…なんで、言いたくないの?」

千秋「…」

風夏「私だってもう大人なんだから、夜の仕事くらい分かるよ。キャバクラとか、そういうことでしょ?」

千秋「だから、言いたくないって」

風夏「なんで」

千秋「…」

風夏「うそ…やめてよ」

千秋「…」

  風夏、何かを確信する

風夏「なんで?なんでそうなるの?おかしいよ」

千秋「…」

風夏「ずっと頑張ってたのに、映画の仕事するんだって、小さい頃から」

千秋「…」

風夏「夢叶えたのに?」

千秋「…」

風夏「しっかりしてよ」

千秋「うるさい」

風夏「え?」

千秋「ごめん」

風夏「お姉ちゃん」

千秋「…」    

風夏「…ごめん…私のせいだ」

千秋「ちがうよ」

風夏「私が、フラフラしてるから」

千秋「あんたは、元気でいてくれればいい」

風夏「ごめん…」

千秋「お父さんも風夏も、ほんとそっくりなんだもん。ちょっと嫉妬しちゃうな」

風夏「どういうこと?」

千秋「あんたも、早く帰りなよ」

  千秋、家に戻っていく

  ♪BGM(月の光:オルゴール)

  途中から話を聞いていたハル、風夏のとなりに座る

ハル「風夏」

風夏「あ…。うん」

  ハル、風夏の隣に座る

ハル「お姉さん?」

風夏「うん」

ハル「元気ないの?」

風夏「うん」

ハル「聞くよ」

  話しづらそうにする風夏を、優しい目で促すハル

風夏「……小さい頃から、ずっとお姉ちゃんに憧れていて。私のお母さん、私が生まれてすぐ死んじゃったから…何となくお姉ちゃんがお母さん代わりみたいになってた。4つしか違わないのに…。今まで弱いところなんて見せること無かったから、あんな姿見て動揺しちゃって、酷いこと言っちゃったよ…全部私のせいなのに」

ハル「風夏は素敵な子」

風夏「そんなことない。お姉ちゃんを傷つけてるし、お父さんにも心配かけてばかり」

ハル「すごく繊細で、不器用だから勘違いされることもあるけど、本当はとっても優しい。素敵な子」

風夏「…」

ハル「お姉さんもそれを分かってると思う。だから心配しなくていい。元気でいてくれればいいってのも、本心だよ」

風夏「どうしてハルにそんなことが分かるの?」

ハル「…どうしてだろう」

  そんなはずはないが、不思議と昔から2人のことを知っている様な感覚を覚える

ハル「…」

風夏「どうしたの?」

ハル「ううん…私、こう見えて100年以上生きてるんだから…年の功、かな」

風夏「そっか、何か納得」

  ハル、鼓動が早まるのを感じる

ハル「…お父さんって、何してる人?」

風夏「漁師」

  ハル、徐々に頭が真っ白になっていく

風夏「どうして?」

ハル「いや…別に、深い意味はないよ」

風夏「変なの」

ハル「…ごめん、あなたたち姉妹を見てたら、きっと素敵な家族なんだろうなぁって、興味わいて」

風夏「そんなことないよ。お姉ちゃんのことも、お父さんのことも、好きだけど…なんか上手くいかなくて」

ハル「お父さん、お名前は?」

風夏「正文」

  ♪BGM(夢:ドビュッシー)

  ハル、独白

  ハルと正文の部屋に照明があたる

  正文は自室でハルからの手紙を読んでいる

(ハル)

お久しぶりです。ネネです。

あまり具合が良くないと聞きましたが、お加減いかがですか?

突然のお手紙で驚かれたと思いますが、どうしてもあなたに謝りたいと思ったんです。

3年前から、私は約束の場所に行くことをやめました。きっとあなたに悲しい思いをさせたと思います。

本当にごめんなさい。

実は私、人間になったんです。信じられる?

でも、顔も声も、あなたが知っているネネではないんです。

だから、私はあなたの前に現れるわけにはいかない。私はずっと、ネネのままでいたいから。

あなたの記憶の中で、ずっとあの頃の私でいさせてください。

あなたがこの手紙をお読みになったとき、私は泡となって消えるでしょう。

キラキラした場所に戻って、あなたの家族を見守っています。

  ♪BGMフェードアウト

ネネは、幸せでした。

  浜辺エリア、暗転

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◆父の部屋④

『父の大切な思い出』

  ♪BGM(夢:ドビュッシー)

  部屋には、正文と風夏

正文「約束の場所に行かなくなったのは俺の方なのに…」

風夏「ん?」

正文「何でもないよ」

風夏「まさか、お父さんとハルが知り合いだったなんて。びっくり」

正文「ハル…そうか…。ハルが、この手紙を風夏に託したんだな」

風夏「うん。ねえ、どういう知り合いなの?」

正文「…」

風夏「だって、ハルって人魚なんだよ?今はわけあって人間なんだけど」

正文「…」

風夏「手紙、読んでもいい?」

正文「いや、お父さんの口から説明するよ」

風夏「分かった」

正文「少し長くなるぞ。千秋も呼んでもらっていいか?」

風夏「うん」

正文「大切な話なんだ。2人に聞いてほしい」

  風夏、千秋を呼びに行く

♪ソング&ダンス

『キラキラの向こうのお話』

※オリジナルソングを使いました。音源をお渡しできる可能性もありますので、まずはご相談ください。代わりに何かの曲を使って芝居で表現しても良いと思います。

  正文、2人に過去の秘密を語りだす(無声のお芝居)

  岩場にも照明が当たる

  そこには、人魚と男

  (人魚と男のソング&ダンス)

♪昔々の最近のこと

遠くて近いどこかの国

とある男と

とある女が

キラキラの海で出会いました

美しい女の魔法の息吹が

男の命を救う

そんなお話

♪昔々の最近のこと

遠くて近いどこかの国

とある漁師と

とある人魚が

夜風(よるかぜ)の中で言葉を重ねる

儚く小さな二人だけの愛を

大事に育てた

そんなお話

♪とある町のとある海で

誰かと誰かが愛し合う

今夜もまた

それはきっと

キラキラの向こうにも

昔々の最近のこと

遠くて近いどこかの国のお話

  正文の部屋に照明が残る

  寄り添う3人(正文、千秋、風夏)

  暗転

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◆浜辺⑤

『つながっていた家族』

  ♪環境音「波の音」

  深夜、浜辺に立っている風夏

  海を見ている

  後から千秋がやってくる

千秋「今日が7日目?」

風夏「うん」

千秋「どうしちゃったんだろうね。私も会いたかったな」

風夏「最後に会えるかなって思ったんだけど」

千秋「…」

風夏「多分、海のキラキラになったんだと思う」

千秋「そっか…。7日経ってないのに?」

風夏「お父さんに正体を明かしちゃったから。多分、ハルは分かってた。消えちゃうこと」

千秋「これで良かったのかな」

風夏「うん。最後に気持ちを伝えられて良かったんだと思う…けど」

  風夏、何かを考えている

千秋「どうしたの?」

風夏「私がしっかりしていれば、お父さんはハルと会っていた…ってことだよね、今でも」

千秋「どうだろう」

風夏「私のことで精一杯にさせちゃったから」

千秋「風夏とちゃんと向き合いたかった…っていうお父さんの気持ち、大事にしてあげて」

風夏「…」

千秋「まぁ…責任は感じちゃうよね。でも、お姉ちゃんが家を出たことも原因の1つだし」

風夏「ハル、まだ100年は生きられたはずなのに」

千秋「そんなに生きるんだ、人魚って」

風夏「…」

千秋「ねぇ」

  ♪BGM(キラキラの向こうのお話)※オリジナル音楽

風夏「ん?」

千秋「本当に泡になって消えちゃったのかな」

風夏「どういうこと?」

千秋「その子、本当に人魚だったのかな…なんて」

風夏「分かんない。分かんないけど、不思議な子だった」

風夏「…また、会えるかな?」

千秋「うん、そうだよ。きっと会える。だから風夏も…」

風夏「大丈夫だよ。もう心配しないで」

千秋「本当に?」

風夏「ハルに会うまで、私も元気でいないと」

千秋「うん」

風夏「お父さん、ハルとの話、なんでお姉ちゃんにも聞かせたかったのかな」

千秋「私ね、お父さんが時々夜中に抜け出すの気づいてたんだよ。ずっと、小さい頃から」

風夏「そうなの?」

千秋「うん。何となく女の人と会ってるんだろうなって」

風夏「女の勘、こわ。奥さんみたい」

千秋「こらこら」

風夏「ごめん」

千秋「お父さんも、何となくそれを察していたんじゃないかな?だから話しておきたかったんだと思う」

風夏「家族って、何かいいね」

千秋「なにそれ」

風夏「そう思ったの。みんながお互いを思いやって、ちゃんと心で通じていたんだなって」

千秋「そっか、そうだね。ちょっとチグハグしてたかもしれないけど、ちゃんと家族だったんだよ。私たちは」

風夏「ハルのお陰で、大切なことに気づけた気がする」

千秋「感謝しないと」

風夏「うん」

千秋「私も、ハルに会ってみたい。だから…こっちに戻ってこようかな」

風夏「ほんとに?」

千秋「口うるさい人が戻るけど大丈夫?」

風夏「ほどほどにお願いします」

千秋「よし、お父さんに報告してくる」

風夏「うん」

  千秋、家に戻っていく

  BGMフェードアウト  

  照明、岩場に切り替わる

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◆海岸にある岩場

『エンディング』

  ♪BGM(月の光:ドビュッシー)

  とある海岸

  人魚、何かを考えている

男「何を考えているんだい?」

人魚「恥ずかしいわ」

男「教えてくれよ」

人魚「…あなたの隣で、一緒に歳をとっていけたら幸せだろうなって。そんなことを考えていました」

男「それは、本当に素晴らしいことだね」

人魚「ねえ」

男「なに?」

人魚「…いつか、私があなたの前に現れなくなって…」

男「そんなのやめてくれよ」

人魚「しばらくして、とてもキレイな女の人と出会うかもしれない。いや、キレイじゃないかもしれませんが。でもとっても素敵なんです、多分」

男「何ですかそれは」

人魚「そしたら、その人を愛してあげてほしいのです」

男「意味が分からないよ」

人魚「その人の名前は…そうだな…」

  男に耳打ちする

  BGMボリュームアップ

  同時に照明フェードアウト

  浜辺の風夏に照明

  そこに千秋が手を引き、正文がやってくる

  家族3人で幸せそうに海を眺めている

  終

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