〈あらすじ〉
数年ぶりに、故郷のバス停で偶然再会した里子と将暉。2人が持つカキ氷には、10年前の「あの事件」の日と同じシロップがかかっていた。それは、事件で亡くなった恵理子を忘れない為…だろうか。久しぶりに会った2人は、不器用に様々な会話を重ねていく。その中で明らかになっていく10年前の事件の真相。徐々に里子に侵食されていく将暉。
人生は宿命によって決まっているものなのだろうか。それとも…。
〈登場人物〉
木ノ下 里子(25)女。
安藤 将暉(25)男。顔に小さな傷がある
〈舞台〉
季節は夏。田舎のバス停。中央に屋根付きの待合があり、中には三人掛けのベンチ。待合の側にはバス停のポールが立っている。
〈その他〉
※役名が括弧書きになっている箇所は、基本的に独白として表現しています。
〈本編〉
暗闇の中バスの発車音。上手に走り去る
点灯
里子ベンチ下手側に座り、手にはイチゴのかき氷。将暉、背中を向けうずくまっている。手にはブルーハワイのかき氷。
『童謡:赤い靴』アカペラ(里子)
♪赤い靴履いてた女の子異人さんに連れられて行っちゃった
里子、将暉の周囲を回りながら
♪横浜の埠頭から汽船(ふね)に乗って異人さんに 連れられて行っちゃった
里子、後ろ向きのまま将暉を立たせる
(台詞で将暉に向かい)今では青い目になっちゃって異人さんのお国にいるんだろう
里子、大切そうに将暉を抱く
♪赤い靴見るたび考える異人さんに逢うたび考える
里子、ベンチ下手側に座る
将暉、後ろ向きのまま語る
(将暉)どの道を通っても真理や幸せに通じる。「良い」「悪い」の判断ではない。すべての物事が「絶対」なんだ。目の前にあることにただ無心に向き合えば、おのずと道はひらける。つまり、どの道を選んでも「正解」なんだ。大事なのは、選ぶ判断をしたあとにどう生きるか。結果にこだわらず、やるべきことをただひたすらやる。その果てに選んだ道は、必ず「良い道」になる。
(2人)かき氷は特にそうだ。イチゴ、レモン、ブルーハワイ、メロン、どのシロップを選んでも意味はない。意味はないのだ。しかし我々は考える。なぜだ?どのシロップをかけようが、その後、悩みは同じだけ訪れ、幸せも同じだけ訪れるのだ。
将暉、振り返る
将暉「シロップなんて、何でも良い」
里子「そうだよ」
暗転、蝉の声、in
点灯
1989年8月8日、15時。地元のバス停で数年ぶりに再会した二人。暫く、無言でかき氷を食べる。将暉、ベンチ上手側に座っている。里子、ベンチ下手側に座っている
将暉「以外と近かったんだね」
里子「何が?」
将暉「一応、関東圏だから」
里子「そういうことか」
将暉「そう」
里子「そうだね」
里子、将暉のかき氷を見ながら
里子「すごい迷ってたね」
将暉「何が?」
里子「どの味にするか」
将暉「え?」
里子「マキタ屋」
将暉「いたの?」
里子「いたよ」
将暉「声かけてよ」
里子「ごめん」
将暉「なんで声かけなかったの?」
里子「ごめん」
里子、将暉のかき氷を見て
里子「将暉」
将暉「なに?」
里子「ブルーハワイにしたんだね」
将暉「…里子こそ」
里子「私はイチゴだよ?」
将暉「そうじゃなくて」
里子「うん。…そうだね。覚えてたんだ」
将暉「当たり前だよ。命日には毎年帰ってきてるし」
里子「そうなんだ…でも、私は小さいころからずっとイチゴシロップだったから…」
間
里子「え??」
将暉「え??」
里子「…私も毎年帰ってるんだけど。恵理子の命日」
将暉「そうなんだ」
里子「ぜんぜん会わなかった」
将暉「うん。あ、でも仕事の都合で少しズレることもあったから」
2人、何となく昔の調子を思い出す
里子「…久しぶり。だね」
将暉「(軽く吹き出す)変なの」
里子「なんで」
将暉「だって、今更じゃん」
里子「うるさいな」
間
将暉「今から帰るの?」
里子「明日仕事だから」
将暉「そうだよね」
里子「…」
将暉「何してるの?」
里子「病院。医療事務」
将暉「すごいね」
里子「誰でもできるよ」
将暉「…そういうものなんだ」
里子「…」
将暉「俺は、サッカー辞めちゃったよ」
里子「え??」
将暉「今は配送の仕事」
里子「…」
将暉「良いところまでは行ったんだけどね」
里子「プロってこと?」
将暉「まぁ……一応」
里子「やっぱりすごいね」
将暉「そこまでは誰でもいけるよ」
里子「…そういうものなんだ」
将暉「でもさ、今の仕事結構稼ぎ良くて。楽しいよ。お得意さんも結構いてさ。配送とは言え営業もやるんだよ。食品系なんだけどさ。俺結構、話す方も才能あるのかも」
里子「そうなんだ。私は全然だよ。給料も少ないし」
将暉「割と良い大学行ってたよね?もっと良い仕事あるんじゃない?」
里子「何でも良いんだよ、私は」
将暉「なんで。結婚するとか?」
里子「しないよ」
将暉「そうなんだ」
里子「相手いないし」
将暉「お互い淋しいね」
里子「別に」
将暉「あ、そう…」
里子「…」
将暉「仕事、こだわりないんだ」
里子「無くはないけど…」
将暉「…」
里子「結局どれも一長一短じゃん?」
将暉「そりゃそうだけど」
里子「どの仕事をやっても大変」
将暉「確かに。…でもさ、だとしたら、好きなことを仕事にしたほうが良くない?」
里子「そうなんだけど…」
将暉「うん」
里子「将暉は好きなことを仕事にできてる?」
将暉「出来てるよ。向いてると思うし」
里子「それって、好きなこと…とは違わない?やってみたら楽しかったってだけで、好きなことはサッカーだったでしょ?」
将暉「そう言われると…そうなんだけどさ。仕方ないよ。実力の世界だし」
里子「ごめん。なんか意地悪い言い方になっちゃった」
将暉「いいよ、大丈夫」
里子「うん」
将暉「正直、ドキッとした」
里子「え?」
将暉「まぁ、割と成績は悪くないのは本当。今の仕事ね」
里子「ガッツあるもんね」
将暉「うん。でも、言うほどやり甲斐は感じていない、仕事自体には。給料は結構いいから、それには満足してるけど。…だからそっか、確かに。そういう意味では、仕事なんて何を選んでも良いのかもしれないな。…大切なのはそこで満足できる何かを見つけられるか…なんだし」
里子「うん。だから、私ももう少し探してみる。今の職場で」
将暉「そっか」
里子、腕時計に目をやる
将暉、里子の時計を見るよう、ベンチの真ん中に移る
将暉「今何分?」
里子「20分くらい」
将暉「ほんと相変わらずだよな。このバス停も」
里子「前はもっと走ってなかった?」
将暉「うん。確かにそうだったかも」
里子「高校の頃は、確か30分に1本くらいはあったと思う」
将暉「まぁ、今じゃ住む人も減ってるみたいだし。…懐かしいね」
将暉、昔を思い出す
将暉「あれ?恵理子が転校してきたのって、いつだっけ」
里子「中学1年の夏…だったかな」
将暉「あーそうだったかも。そういえば、なんでこんな田舎に来たんだろうね。俺あんまり話したことなかったからさ」
里子「お父さんの夢だったみたい。田舎暮らし。確か作家みたいな仕事してて。時々は東京に戻ってたみたいだけど」
将暉「トトロのお父さんみたい」
里子「トトロじゃなくて、サツキとメイのお父さんだね」
将暉「そうなんだけどさ」
里子「可愛かったなぁ」
将暉「仲良かったよね」
里子「そりゃ、大親友でしたから」
将暉「…」
里子「最初は私の憧れだった。フレアドレス、花柄のスカート、チェックの服なんかも、このへんじゃ着てる子いなかったから」
将暉「最初は嫌ってる女子も多かったけど…」
里子「性格も良かったじゃない」
将暉「そう、そうなんだよ。だからモテてたよなぁ」
里子「…」
将暉「お母さんも綺麗だし」
里子「大沢の滝も、すすきの丘も、若草山の桜も、私が連れて行ってさ」
将暉「お、我が故郷の3大名所」
里子「そう」
2人、何となく笑う
里子「キラキラ輝いてて、でもいつも同じ目線で話してくれて…まぁ同い年なんだから当たり前なんだけど。でもそれが嬉しくて、居心地が良くて…恵理子と居る時間は特別だった」
間
将暉「…恵理子、そこ(空いた上手側)に座ってたよね」
里子「…そうだね。3人でかき氷を食べた」
照明、センターのみを照らす
蝉の声、フェードアウト
将暉、里子、それぞれに当時を回想する
(将暉)あの時、恵理子はレモンを選んだ。だからなんだと言われても困る。とにかく、彼女のかき氷にはレモンのシロップがかかっていた。それが事実。彼女の白いワンピースに、レモンの黄色が映えていた。甘い匂いがした
(里子)将暉のかき氷は真っ青で涼しげで、爽やかで。いつもの彼の横顔とは違うようなそんな感覚。ブルーハワイなんて名前、なんだかおかしいですよね。バカみたい。いつもはイチゴのシロップなのに…
(将暉)レモンのシロップを見て、心がざわついた。恋とは違う。それは確実に言える。でも、吸い込まれていく。走り出す。そう、走り出すんです。まるで信号機だ。黄色は人の心を焦らせる
(里子)信号機で例えるなら、将暉は青色。まさしくブルーハワイ。気がつくと、どんどん先に行ってしまう。横顔でもいい。隣にいさせて欲しかった
(将暉)あの事件の日、俺は何故か悩んだ。シロップなんて何でも良かったのに。何となく気取ってみたんだろうなブルーハワイ。なんかカッコいいじゃん。少なくとも当時はそう思ってた
(里子)親友は白いワンピースに麦わら帽子。赤い靴。マドンナっていつもそう。東京からの転校生。イチゴのかき氷を選ぶような一般庶民とは違うわけです
(将暉)恵理子はクラスのマドンナだった。そりゃ、綺麗だし、東京からの転校生だし。でも俺はやっぱり、レモンよりイチゴの方が好きだ。それなのに…
照明、戻る
蝉の声、in
里子「なんであの時、ブルーハワイにしたの?」
将暉「何となくだよ」
里子「いつもはイチゴなのに。すっごい迷ってて」
将暉「その話はいいよ」
里子「バスがギリギリだったのに」
将暉「やめろって」
里子「結局1本乗り過ごしちゃってさ」
将暉「だからやめろって!」
里子「何急に…」
将暉「責任感じてんだよ。予定通りのバスに乗っていれば、あんなことにはならなかったのかもって…」
里子「…そんなこと、ないよ」
将暉「じゃあどうすれば良かった?予定通りのバスに乗っていても恵理子は死んでいたのか?」
里子「…そうだと思う」
将暉「なんで!」
里子「…」
将暉「そもそも、行くのを中止にすれば良かったんだ。その選択肢もあった」
里子「それはないよ。折角、2人でデートするチャンスだったじゃん」
将暉「チャンス?どういうこと?」
里子「だって、2人、両思いだったでしょ?」
将暉「は?」
里子「…」
将暉「…そんなわけないだろ」
間
将暉「…まさか。それで俺たちだけ行かせたのか?」
里子「…」
将暉「なんか、忘れ物したとかで。いや違うな、急用を思い出したとか言ってバスに乗らずに」
里子「…」
将暉「あれはそういうことだったのか?」
里子「…」
将暉「俺は!…里子のことが好きだったんだぞ」
里子「え?」
将暉「…」
間
里子「でも…ぜんぜん違うじゃん、タイプが。ていうか、何ていうか、クラス内でも居る場所が違うし。確かに、幼なじみだったから、一緒に帰ることはあったけど…私暗かったし、まぁそれは今もだけど。将暉はサッカー部のエースだったし、目立ってたし…」
将暉「でも…俺は恵理子とバスに乗った」
里子「え?」
将暉「だったら今日は中止しよう。…それで良かったはずなんだ」
里子「でも、映画楽しみにしてたでしょ?」
将暉「そうじゃないだろう!」
里子「…」
将暉「あの日、恵理子と遊んだのは初めてだったよな」
里子「私はしょっちゅうだけど、将暉はそうだった…のかな?」
将暉「可愛く見えたよ」
里子「…?」
将暉「私服のあいつを初めて見て。可愛く見えたんだよ。やっぱり東京の子なんだなって。だからブルーハワイなんて選んじゃったんだよ。意味分かんないかもしれないけど。隣には、いつも通りイチゴのかき氷を食べる里子がいて。…なんか、こう、いつにも増して地味に見えた。田舎っぽく見えた。ごめん…恵理子と2人で映画に行くのも悪くないかもしれない。一瞬だけ思ってしまったんだ。でも一瞬だよ?ていうか、ずるいよお前、バスが来た瞬間に【用事思い出した】なんて言うんだもん」
里子「ごめん」
将暉「…悪い。謝らないで欲しい」
里子「でも、ごめん」
将暉「謝らないでくれよ。ずっと後悔してたんだ。あの時シロップなんかで迷っていなければ…とっとと決めていたら…映画を中止にしていれば…俺が…俺が…逃げていなければ」
里子「逃げたなんて思ってないよ」
将暉「ちがう。そうじゃない。俺はあの日、映画館の前で恵理子を置いて逃げたんだ」
里子「でも、将暉も襲われたんだから、仕方ないよ」
将暉「(顔の傷に触れながら)これは、逃げた時に転んで切った傷だよ」
里子「…」
将暉「…」
里子「それでも、仕方がないと思う」
将暉「里子の親友を守れなかった。お前を悲しませてしまった…。小さいころからずっと一緒にいて、いつも遊んで、ずっと好きで、それなのに、その自分の気持ちさえも裏切った…レモンのシロップが俺を惑わせた…それで全てを失った」
里子「すべては言いすぎじゃない?」
将暉「そのくらい後悔してるんだよ」
里子「むしろ将暉の選択は何も間違ってないよ」
将暉「何が分かるんだよ!」
里子「ねぇ」
将暉「…」
里子、立ち上がる
里子「かき氷のシロップって、ぜんぶ同じ味なんだって」
将暉「え?」
照明、センターだけを照らす
蝉の声、フェードアウト。時が止まる
(里子)1979年、8月8日、水曜日。13時頃、西原市、桐町駅南口の商店街にて、刃物を持った男が現れる。男は60代の男女を刺し、そのまま逃走。未だ捕まっていない。
(里子)私は茶の間のテレビを消し、柱の時計を見上げる。念の為、鞄を開け、財布と家の鍵があることをチェックする。
(里子)意味もなく、座布団を敷き、座る。蝉の声が、やけに遠くに感じた。
(里子)扇風機をつけようとする。しかし、ちゃぶ台にあった団扇で良しとした。特段、暑さを感じているわけではない。何かに焦っているような気持ちが逸っているような。儚く、壊れそうな胸を押さえ自分を落ち着かせる。
(里子)風鈴の音が、長く、長く、胸に響いた
(里子)13時25分頃、台所にいた母親に「すぐに戻ります」とだけ言い、桐町駅南口行のバス停に向かった。
里子、満面の笑み
照明戻る
蝉の声、in
将暉「え?」
里子「だから、どのシロップを選んでも同じ味だって話をしてるの」
将暉「そんなはずないよ」
里子「香料は違うみたいだけど。味は同じ。あとは色が違うから、結局は錯覚なんだと思う」
将暉「そんな」
里子「…何を選んだって同じ」
将暉「え?」
里子、ベンチに戻る
里子「私たち、疎遠になっていたじゃない??」
将暉「うん」
里子「(笑顔で)実は私もずっと自分の選択を後悔していて。それで何となく将暉に連絡取れなくて」
将暉「里子の後悔?」
里子「将暉と同じ!3人で映画に行くのを中止にすれば良かった!」
将暉「仕方がないよ。まさか駅前に通り魔がいるなんて誰も知らなかったわけだし」
里子「…」
将暉「…?」
里子「…でも今は大丈夫。【ある人】からかき氷のシロップの話を聞いて。それから少し気持ちが楽になってね」
将暉「…」
里子「やっぱり将暉に会えた!」
将暉「え?」
里子「あの時、3人でバスに乗らなかったとしても、きっと私と将暉はこうなっていた!恋人にはなっていないし、疎遠になっていた!そして今日…将暉と私は結ばれる!!」
将暉「えっと…」
里子「ちゃんと聞いてた?」
将暉「…聞いてるよ。(嬉しそうに)聞いてるさ」
下手側よりバスが到着。扉が開く
蝉の声、バスの音フェードアウト。時が止まる
照明、センターだけを照らす
将暉、徐々に笑顔が消えていく
(将暉)…違和感を感じた。しかしその裏側を見ることはやめた。この感覚に根拠があるかと言えば嘘になる。これはもはや第六感に近い。それよりも、あの頃のように、イチゴのかき氷を抱える里子が愛おしかった…
(将暉)宿命なんて信じられるわけがない。だが「かき氷のシロップはすべて同じ味」だとすれば、何を選んだって変わらない。…考える意味がない?けど…俺は今まで様々な選択で苦しんだ。後悔もしてきたじゃないか!積み重ねて来たじゃないか!だからこそ…
(将暉)神様、すみません。俺はたった今、あのときブルーハワイを選んで良かったと…乗るバスが遅れて良かったと、心から思ってしまっているんです。(里子に目をやり)だって、だからこそ今があるんでしょう?未来は…運命は選択によって変わるはずなんだ!
将暉、一瞬恵理子が座っていたベンチに目をやる
(将暉)いや、でも…でも…今だけは…今だけは【宿命】という言葉を信じさせてください。彼女が言うように、どの選択をしても未来は変わらなかったと…。今目の前にある小さな幸せを…俺に…どうか、お願いします…
将暉、祈るように崩れ落ちる
BGM:ノクターン20番「遺作」ショパン
里子、将暉の元に歩み寄る
(里子)たった今バスが到着した。けど、ただそれだけのこと。私たちはそのバスには乗りませんでした。乗っても良かったけど別にどちらでも良い
里子、崩れ落ちる将暉の肩に触れる
(里子)何も考えず将暉と時間を共有するだけ。そして、すべてを取り戻すんです。あの時もそう。バスが到着した。私は乗らなかった。ただ、それだけのこと
里子、立ち上がる
(里子)乗らなかったことを後悔しないようにその後の生き方を変えた。そして、考え方を変えることができた…
里子、満面の笑みで叫ぶ
(里子)運命と戦うなんて、馬鹿のすることだよ!!
将暉、ゆっくりと顔を上げる
将暉「…ねぇ」
里子「なに?」
将暉「…なんで十年前と同じ、イチゴのシロップにしたの?」
里子「それは」
将暉「…うん」
里子「今も、好きだからに決まってるじゃん」
将暉「今も…」
里子「そう。小さいころから、ずっと」
将暉、立ち上がる
将暉「…そうだったね」
里子「うん」
将暉「…俺もだよ」
里子「なに?」
将暉「俺もずっと、イチゴのシロップが好きだった…」
里子「ありがとう」
里子、将暉、それぞれの笑顔を残しつつ溶暗、BGMフェードアウト
終


